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このコラムは、エコチルとエンピツプロジェクトの共同企画です。

これまでENPITSU PROJECTを通じて多様な国、多様な仕事、多様なアイデアを持つ方々にたくさん出会いました。
これから「ENPITSU COLUMN」として、ENPITSU PROJECTの縁で繋がった「人」にスポットを当てて、それぞれが思い描く持続可能な世界、またそれに繋がる活動についてご紹介していきます。

青梅幼稚園は東京の青梅市において最も歴史のある幼稚園。1950年に認可を得て以来70年近く、少人数による保育を行っております。

今回ENPITSU PROJECTに賛同いただき、普段、園児たちがよく遊んでいる森で小枝をひろい、ノコギリで切り、芯をつめるという作業を、園児たちと一生懸命に取り組み、カンボジアの子どもたちのために素敵な小枝の色鉛筆を作ってくれました。いまは新型コロナ感染拡大の影響で渡航延期中となっておりますが、近い将来必ずカンボジアに届けに行きます。

「こども達のために」「こども達にとって」が口癖という横山牧人(よこやま まきと)園長に、持続可能な教育についてお話しを伺いました。

 

– 幼児教育者を目指したきっかけや今の教育方針につながるエピソードを教えてください

僕の家は教会でした。父親は牧師で、その教会の一室を使って母親が2歳児の子たちを預かっていたのですが、いわば小さな幼稚園をやっていた家庭で育ちました。

進路を選ぶ時、一度は趣味であった音楽業界の道を選びましたが、小さい頃の環境の影響は大きく、結局、幼児教育に関わるようになりました。最初は保育園に勤めていて、資格も働きながら取得したのですが、ある時クリスチャンで幼児教育に関心がある人を⻘梅の方で募集していたので、それから青梅幼稚園に関わっています。

いつの日か昔、僕が担任を持っていた頃、イラン人と日本人のハーフで自閉症の子がいたんですが、僕はこの子を大事に保育するんだ!と心に決めて1年間担任をしていました。

その後、その子が卒園間際になって気づいたんですが、その子と仲良しのお友達は、一人もいなかったんです。なぜかというと、僕がずっと一緒にいたので、僕がその子と他の子どもたちの壁になっていたのです。

それってこの子にとってよかったの?このクラスにとってよかったの?僕は何をしていたの?と、ものすごく反省しました。

今年、青梅幼稚園の園長になって4年目ですが振り返ってみると、その経験が教訓となって、子供たちとの時間の一瞬一瞬を一生懸命にやってきたことが今に繋がっていると思います。

 

– 青梅幼稚園で大事にしていることは何ですか?

定員100名くらいの小さい幼稚園ですが、少人数だからこその特徴とメリットがあります。

例えば、日本人は自己肯定感が低いと言われていますが、それは小さい頃に、自分がやってみたこと、言ってみたことを大人から「すごいね~」「えらいね」と認められ、共感してもらえたという体験が少ないからではないでしょうか。 認められた経験を積み重ねてきた子というのは自分には何かできるはずと思うようになります。そこから何に対しても「やってみよう」と思えるようになるのだと思います。

ですから、一人ひとりの言ったことや願いを丁寧に拾ってあげることは、その子の存在そのものを認めてあげることにもつながるのでものすごく大切だと思っています。少人数は本当いいですよ。先生達も優しいし。

 

また、集団からはみ出ちゃう子、集団行動が苦手な子というのはどこの年代にも絶対にいます。今まではそういう子に対して集団行動ができるように訓練をするという考え方でしたが、それは結局いじめを助長することにつながるのではないでしょうか。

先生がどれだけクラスをまとめられるかではなくて、どれだけ子どもたちが子どもたちの社会を作れるか、仲間作りができるかという視点で、先生方には子どもたちそれぞれの意思を尊重してあげることをお願いしています。

 

さらに、そういう組織作りや仲間作りをするのに、自然の中で遊ぶというのはすごくいいんです!

自然の中には生き物もいて、葉っぱや木や枝もあって、どれも同じ形をしているものは一個もないんです。

実生活の中でも、人それぞれ違うのが当たり前であるように、子どもたちが取り組むことに対しても、これは上手これは下手という基準はありません。

例えば、森の中で長いと思う枝を持って来て、と言った時、子どもたちは自分が思う長い枝を持ってきます。それに上手いや下手、間違いや正解もないのです。そう言った意味で自然の中で遊ぶというのはすごくいいのです。

– 現在取り組んでいる持続可能な社会につながる活動について教えてください

普段子どもたちが遊ぶ「あまがさすの森」の木を切ってお茶碗にするという「お茶碗プロジェクト」を一昨年からやっていて、今年も50個のお茶碗ができる予定です。

このプロジェクトの目的は、いつも遊んでいる森の木が日常的に使われるお茶碗になるという経験を通じて、物を大切にすることや、故郷を愛するということを学び、そして地産地消にも繋がります。

大人になると幼児期の原体験の記憶がだんだんと薄れていくのですが、ある時「あぁ昔よく遊んでいた森の木でお茶碗作ってご飯を食べた!」という記憶がどこかで蘇ってくるはずです。

そこから地元に自分の力をという、持続可能な地域作り、社会作りに繋がって欲しいと願っています。またそれを教え込むのではなく、自分で気づくという、主体的な学びをやっていきたいですね。

 

– 最後に、エンピツプロジェクトに期待していることはありますか?

子どもに限らず大人も皆、自分の経験の中から、言われたことを自分なりに解釈して理解するのですが、子どもたちは経験が少ないので言葉だけで言ってもイメージができません。なので子供は多少マト外れなことをいうのです。

海外と繋がるというのはなかなか自力では難しいことなので、ENPITSU PROJECTを通してそういう経験の幅ができるのは子どもたちにとって、とても大きいと思います。今後も一緒に活動できるのを楽しみにしています。

 

青梅幼稚園

http://omeyochien.net/

エンピツプロジェクト

https://enpitsu-pjt.jp/

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