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旭山動物園の獣医師・池谷優子さんが、動物や動物園、自然について紹介するコーナーです。
今回のテーマは… 動物にあたえる飼料についてです。
それぞれの動物に合った 食べ物を用意
動物園には、植物を主に食べる草食動物、肉を主に食べる肉食動物、いろいろな物を食べる雑食動物など、さまざまな種類がいます。そのため、それぞれの動物に合った食べ物を、毎日用意する必要があります。
あたえる物は、ペレットと呼ばれるペットフードのような固形飼料から、私たちが食べているような物までさまざまです。動物園の世界でも研究が進み、ペレットの種類も増えてきています。
しかし、ペレットだけでは飼育はできません。消化管の構造に合った飼料や、必要な栄養素、食べる環境(水中かどうかなど)、食べる楽しみなどの、数々の条件を満たすために、たくさんの植物、枝葉、乾草、肉、魚などをあたえています。野菜は野菜屋さんから、肉や魚、乾草などもそれらをあつかうお店から商品として流通している物を購入しています。

動物の飼料として 地域の資源を再利用
飼料は、お店から買うだけではありません。近年、地産地消や食品ロスを減らす取り組みなど、資源を大切にする意識が高まっていますが、動物園でもそれに対応した飼料をあたえる機会が多くなっています。
例えば、昔から野菜を収穫する時期に、農家の方から味や鮮度に問題は無いけれど形が悪いため商品にならない野菜をもらって、動物にあたえています。北海道ではエゾシカが増え過ぎて、人との間に問題が起こっているため、駆除されたエゾシカの肉を仕入れて、肉食動物にあたえています。また、電線にかかる危険のある木の枝を切った後は、ごみとして捨てずに、動物園に寄付してもらい、キリンなどにあたえています。
どの飼料も全く動物たちには問題はありません。枝葉などは特に、動物の食性に合った物なので、食の質を上げることもでき、動物園としてもありがたい物となっています。

あさひやまニュース
今年もキングペンギンの赤ちゃんが生まれ、すくすく成長しています。キングペンギンは、亜南極の島々で仔育てをするので、ヒナは寒さにたえるため、綿羽といわれる保温に適した毛に密におおわれています。この羽は9カ月後に生えかわり大人の羽になります。
教えて! 飼育員さん
飼育員さんが、みんなからの質問に答えるよ!
Q. ゴマフアザラシの赤ちゃんは毛がフサフサしているのに、大人はツルツルしているのはどうしてですか?
A. 赤ちゃんの毛は、地上での保温に適したフサフサの毛をしています。実は、大人も密に毛が生えています。そのおかげで、泳いで毛が水にぬれても皮ふまではぬれないので、体温がうばわれないようになっています。ツルツルに見えるのは、毛の表面が水にぬれているからです。
旭川市 旭山動物園
旭川市東旭川町倉沼
TEL.0166-36-1104
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/
協力・監修/旭川市 旭山動物園